ナマズの病気

ナマズの病気

 田崎志郎・金澤光 著(2001),『ナマズの養殖技術』によると,ナマズの病気として特に注意しなければならないのは以下の病気である.

 ・カラムナリス症(細菌性疾病,尾くされ病)
 ・白点病(寄生虫病)

 これらには食塩浴が効果的だが,治療法は確立されていない.毎日観察し,健康状態を常に把握し,病気を出さない飼育環境を維持することが大切である.また,病気が発生したら,病魚を早めに取り除き他への感染を防ぐ.


カラムナリス症

(a) 原因
 滑走細菌類のFlexibacter columnarisの感染による疾病で,水温が20℃以上で発病する.病魚は,尾びれから尻びれにかけて表皮のただれと欠損,進行すると筋肉が露出し,尾びれは擦り切れて軟組織が崩壊し,部分欠損したりする尾ぐされ症状になる.さらに進行すると体色は灰白色になり,鰓に貧血の症状が現れる.感染は病魚との直接接触によって起こるといわれているが,ナマズ特有の共食い,噛み合いによると思われる損傷が皮膚にあるときに感染しやすい.
発病すると進行が早く,伝染性も強いため,注意が必要である.感染する部位により,尾腐れ病,ひれ腐れ病,口腐れ病,えら腐れ病などと呼ばれたりもする.ひれや魚体に感染し発病した場合は水カビ病のように見えるが,カラムナリス病は患部に菌糸が見えないので区別が付く.

(b) 症状
 発病の個所により尾腐れ病,ひれ腐れ病,口腐れ病,えら腐れ病,皮膚病などと呼ばれ,症状が1箇所に現れることが多い.初期では,カラムナリス菌が増殖している部分に黄白色の付着物が見える.進行すると患部が広がり,組織が融解壊死し,最終的には死に至る.

 尾腐れ・ひれ腐れ病初期では尾・各ひれが充血し,色が冴えなくなり,先端部は白っぽくなる.症状が進むと,ひれの膜の部分が溶けて条だけ残り,破れ傘状態になる.更に進行すると,条の部分も溶けてボロボロと崩れ,最終的にはひれのすべてがなくなってしまうこともある.
 口腐れ病 口周辺が炎症を起し,赤または黄色っぽくなる.口の先端部分から組織が黄色・灰白色に変色し,ボロボロと崩れてしまい,口が欠けてしまうこともある.
 えら腐れ病 熱帯魚の場合,えらの中の症状に気づくのが困難で進行を見逃しやすいため,手おくれになり死亡しやすい.初期ではえらやえら蓋の一部に菌が繁殖し,黄白色の付着物が見える.症状が進行するにつれ,菌に冒された部分が広くなり,えらの組織が壊死したり,えらの一部が腐って欠落してしまったりする. えら周辺の組織は痩せ,ゴツゴツした状態になる. えらの機能が低下するため呼吸困難に陥り,口やえらの開け閉めの速度が速くなり,水面近くで鼻上げしたりする.
 皮膚病 体表に黄白色の付着物が見える. カラムナリス病の場合,ひれから感染することが多く,それが進行して皮膚に広がる場合が多い.進行すると,体表が白くボロボロになり,うろこが剥がれる.体を石などに擦り付けたり,狂ったように泳いだり,じっとして動かなかったりする場合もある.

(c) 治療
 体表やひれに傷を見つけたら,感染症が起らないように早めに対処を行う.魚体に傷を見つけたら,塩水浴で傷がふさがるまで殺菌飼育する.発病している場合は早めに隔離し,薬浴,塩水浴を行う.カラムナリス菌は塩分に比較的弱いため,1%の塩水浴でも進行を抑えることができる.


白点病

(a) 原因
 ナマズなどの淡水魚に対して,膜口類繊毛虫Ichthyophthyrius multifiliisがえら,皮膚に寄生することによって起こる.寄生虫は肉眼で白点として確認できる.Ichthyophthyriusmultifiliisの増殖温度は約6℃~25℃で,適温は約15℃~18℃であるといわれる.従って淡水魚の白点病の主な発生時期は春と秋であり,とくに水温上昇期の春に幼稚魚に発生することが多い.
 淡水魚で白点病原虫の寄生を受けた個体はそれに対する免疫性を獲得することが知られている.従って白点病の発生に影響する要因の一つは魚の免疫性で,病原虫に全く接触したことのない魚は冒されやすい.

(b) 症状
 栄養型はえら,皮膚,ひれの上皮組織の下層,基底膜の直上に潜伏している.虫体は光を乱反射し,肉眼的に小白点として見える.病魚は水面に浮上したり壁などにより,動きが鈍くなる.皮膚は粘液が異状に分泌され,ひれはすれ,さらにえらの粘液の異状分泌が見られる.寄生密度が大きいときには炎症が激しく,出血を伴うこともあり,上皮の剥離,崩壊もよく起こる.えらの広範囲の上皮組織崩壊はしばしば致命的となる.なお,淡水魚の白点病では寄生ストレスとえらの上皮病変によって血液性状に変化が起こる.

(c) 治療
 対策は,水温変動に注意することで,水温が25℃以上になれば繊毛虫の繁殖が停止して,自然に治癒することもある.鑑賞魚など非食用魚で一般にとられる方法としてはメチレンブルー,過マンガン酸カリ,ホルマリン,マラカイトグリーン,ホルマリンとマラカイトグリーン混合液,アクリフラビン,クロラミンTなどの薬浴があるが,養殖魚については効果的かつ実用性のある方法はまだない.なお,仔虫は酸硝銀溶液0.67ppm15秒浴で完全に殺されるという.