藤縄・高橋による指摘

 藤縄・高橋(1994)は1992年2月2日4時4分に三浦半島沖で発生した地震(M=5.9)の直前の東京都水産試験場のナマズの異常行動(東京都防災会議地震部会, 1991)と茨城県波崎における地中電界のULF帯(0.01~0.7Hz)の異常パルス数との間に良い相関が認められることを示し,地中のパルス状の電界変動がナマズに刺激を与えたことを示唆した(図1参照).

 我々は藤縄・高橋(1994)のナマズの行動と地中電界変動の対比に関して,両者のデータを入手し,対比期間を広げその他の刺激要素として気象要素との比較を試みた.図2は1991年12月1日~1992年3月31日までのナマズの行動量と地中電界変動量およびアメダス東京観測点の各種気象要素の時系列グラフである.単純な比較であるがナマズの行動は各気象要素よりも地中電界変動との相関が良いようにも見受けられるがはっきりしない.また,地中電界変動は雷の活動も捉えている(酒井ほか,1997)と考えられることから 今後の解析の必要性がある.


図1 地中電界変動量とナマズの行動量

 


図2 ナマズの行動量と地中電界変動量および気象要素