地球電磁環境モニター衛星(ELMOS)の目的と期待

ELMOSワーキンググループ

 1980年代より大地震の前に大気圏や電離圏が擾乱される可能性が報告されている。地殻−大気−電離圏結合のメカニズムは未解明ではあるものの、近年その研究はますます盛んになりつつあるが、地殻−大気−電離圏の結合機構を解明するには、まず多くの事例を集め、しかる後それらの事象を説明する理論を組み立てる必要がある。しかし、中程度の地震でさえほぼ同一箇所で起こるにはかなりの年数が必要とされるため、大地震との関連性を統計的に確実にするには地上 観測では、予想もつかない時間が必要である。ところがマグニチュード7〜8級の巨大地震は全地球では年間10〜20回程度発生しており、衛星観測によって全地球をカバーすればその時間を劇的に短縮することができるはずであり、これが世界各国で衛星や宇宙ステーションからの観測が実施あるいは提案されている大きな理由となっている。
  • 参考:地震電磁気観測衛星/システム一覧
  •  地震前兆電磁気現象に関する研究の歴史は浅く、現時点ではわが国においても少数の地震学・電波工学・大気物理・電離圏研究者が研究を行っているに過ぎない。我々は、太陽観測衛星“ひのとり”(1981年2月に軌道傾斜角31度打ち上げられて1982年6月まで高度600kmの円軌道にあった)で得られた電子温度、密度データを用いて地震の前駆現象を研究してきた。本提案はその解析結果の信憑性が極めて高いとの確証に基づくものである。もちろん我々に地震現象に関する研究のための衛星計画を推進すべきものと決心させたのは、フランスの地震に伴う電磁現象研究衛星DEMETERの成果や、急速に増え始めた地震前駆現象の報告によるところが多いとはいえ、自ら検証したひのとりの解析結果がなければ本提案をすること事態ありえなかったであろう。
  • 参考:最近の論文
  •  今回提案する電磁気観測衛星に搭載される測定器はこれまでのエアロノミ衛星と変わらないが、取得されたデータは地震との影響を頭に置いて、データ処理することが必要とされる。したがって計画当初からデータ処理体制を強固にしておくことが重要である。搭載する測定器の候補(優先順位順)は、1.プラズマ密度、温度測定器(plasma probes)、2.低周波電磁波受信機(VLF receiver、到来方向検出可能であること)、3.電場測定器(ベクトル測定)、4.二次元フォトメータ(CCD camera)、5.高エネルギー粒子アナライザー(energetic charged particle analyzer)、6.プラズマ高度プロファイル計測器(topside sounder) 、7.イオン、中性ガス質量分析計(ion/neutral mass analyzer)、8.磁力計(Magnetometer)等であり、これらの測定器から得られたパラメータは過去に地震前後に何らかの異常が報告されているものである。衛星はスピン型、重力勾配安定型にするか、あるいは3軸制御が必要か今後更に検討したい。衛星は軌道傾斜角30−35度、高度550−600kmの円軌道でなければならない。この軌道の制約は短時間に地震に伴う電磁現象検出に必要なモデルを作る必要から出てくるものである。上記の衛星とは別に測定器1及び2のみを搭載した小型の衛星を同時に軌道に乗せることも考えている。

     本計画はこれまで衛星に搭載された実績があるか、あるいは新規開発の不要な機器を採用することを考えており、高性能、低コストでかつ短期間の製作が可能である。また、本分野は地質・岩石学、地震学、電波工学、宇宙科学にかかわる極めて広範な学際的領域であり、ELMOS計画の実現がこれら諸分野の画期的発展に大きく資することを期待している。 この計画は地震に苦しんでいる多くの国々と連携しながら進めることは言うまでもない。

    参考リンク:http://www.geocities.jp/semsweb/
    研究会では最初の10分間で小型科学衛星計画の現状をお話しいたします。 その後、各WGの発表に移ります。プログラムは現在作製中です。 発表内容に下記のことがらを含めていただけますようお願い申し上げます。
    →すみません時間足りませんでした・・・

    1.このミッションの科学的価値(理学的,工学的)

     「2.現在の我々の到達点」の通り、

     �‥杜シ�物理の研究(科学的観点)
     ��低軌道地球電磁環境モニター(工学的観点)
     �C録姪甜Уじ従櫃領�証(新しいパラダイムの確立の可能性)

     EXOS-Dがプラズマ粒子、磁場、電場、波動、オーロラ撮像等のフルセットの機器により、多角的なオーロラ関連現象の観測を行ったように、ELMOSは後述の機器により包括的な地震電磁気現象の観測を行う。

    2.他の計画や将来計画との関係,発展性。他に競争的状態にあるミッションがあるかないか?

     諸外国で進展中の計画と独立した観測により観測データを積み重ねることによって地震前兆電磁気現象の立証を行うことが目的であり、他の計画とは競争的というよりも協調的といえよう。

    3.希望打ち上げ時期.軌道計画などの注文

     「4.具体的な10年間の計画」にある通り、最短で平成24年度。「きぼう」第2期利用公募に提案中の地震電磁気観測実験:SEREXが採択されれば、同時期が望ましい。
     軌道高度は500〜600km。太陽同期極軌道もしくは30〜40度低傾斜軌道の2案。

    4.その他打ち上げロケットへの注文

     上記の軌道に300kg程度の投入能力があればよい。

    5.今後の技術開発や事前実証に依存する内容があればその解決方法と実現可能性の見込み

     新規技術開発要素は特になし。

    6.今後の年次計画とフェイズA,Bへの以降までの時間の予測

     「4.具体的な10年間の計画」にある通り。

    7.必要資金プロファイル

     ミッション機器の開発に数億円程度。
     国際公募により削減することも可能。

    8.その他の要望(データレート,電力,などなど)

    搭載機器重量[kg]電力[W]データレート[kbps]備考
    プラズマ密度、温度測定器(plasma probes)3320のぞみPET参考値
    低周波電磁波受信機(VLF receiver)5564あけぼの参考値
    電場測定器(ベクトル測定)5564あけぼの参考値
    二次元フォトメータ(CCD camera)36100(peak)1000(max)Formosat-2 ISUAL参考値
    高エネルギー粒子アナライザー(energetic charged particle analyzer)0.5250.89532DEMETER IDP参考値
    プラズマ高度プロファイル計測器(topside sounder) 124032金星探査機用参考値
    イオン、中性ガス質量分析計(ion/neutral mass analyzer)2.97832のぞみ参考値
    磁力計(Magnetometer)3.115以下1.544MDS-1用MAM参考値
    技術データ取得装置 (TEDA)4.5511.91GOSAT用参考値
    合 計約70kg約70W約250kpps暫定値(CCD camera除)

     各ミッション機器のデータレートは小さいが、複数周回分まとめて下ろすので、十分なメモリ容量(1G〜)と高速Xバンド通信系(10M〜)が必要。

    [ELMOS-WG]