地震前兆電磁気現象に関する研究の歴史は浅く、現時点ではわが国においても少数の地震学・電波工学・大気物理・電離圏研究者が研究を行っているに過ぎない。我々は、太陽観測衛星“ひのとり”(1981年2月に軌道傾斜角31度打ち上げられて1982年6月まで高度600kmの円軌道にあった)で得られた電子温度、密度データを用いて地震の前駆現象を研究してきた。本提案はその解析結果の信憑性が極めて高いとの確証に基づくものである。もちろん我々に地震現象に関する研究のための衛星計画を推進すべきものと決心させたのは、フランスの地震に伴う電磁現象研究衛星DEMETERの成果や、急速に増え始めた地震前駆現象の報告によるところが多いとはいえ、自ら検証したひのとりの解析結果がなければ本提案をすること事態ありえなかったであろう。参考:地震電磁気観測衛星/システム一覧
今回提案する電磁気観測衛星に搭載される測定器はこれまでのエアロノミ衛星と変わらないが、取得されたデータは地震との影響を頭に置いて、データ処理することが必要とされる。したがって計画当初からデータ処理体制を強固にしておくことが重要である。搭載する測定器の候補(優先順位順)は、1.プラズマ密度、温度測定器(plasma probes)、2.低周波電磁波受信機(VLF receiver、到来方向検出可能であること)、3.電場測定器(ベクトル測定)、4.二次元フォトメータ(CCD camera)、5.高エネルギー粒子アナライザー(energetic charged particle analyzer)、6.プラズマ高度プロファイル計測器(topside sounder) 、7.イオン、中性ガス質量分析計(ion/neutral mass analyzer)、8.磁力計(Magnetometer)等であり、これらの測定器から得られたパラメータは過去に地震前後に何らかの異常が報告されているものである。衛星はスピン型、重力勾配安定型にするか、あるいは3軸制御が必要か今後更に検討したい。衛星は軌道傾斜角30−35度、高度550−600kmの円軌道でなければならない。この軌道の制約は短時間に地震に伴う電磁現象検出に必要なモデルを作る必要から出てくるものである。上記の衛星とは別に測定器1及び2のみを搭載した小型の衛星を同時に軌道に乗せることも考えている。参考:最近の論文
| 搭載機器 | 重量[kg] | 電力[W] | データレート[kbps] | 備考 |
| プラズマ密度、温度測定器(plasma probes) | 3 | 3 | 20 | のぞみPET参考値 |
| 低周波電磁波受信機(VLF receiver) | 5 | 5 | 64 | あけぼの参考値 |
| 電場測定器(ベクトル測定) | 5 | 5 | 64 | あけぼの参考値 |
| 二次元フォトメータ(CCD camera) | 36 | 100(peak) | 1000(max) | Formosat-2 ISUAL参考値 |
| 高エネルギー粒子アナライザー(energetic charged particle analyzer) | 0.525 | 0.895 | 32 | DEMETER IDP参考値 |
| プラズマ高度プロファイル計測器(topside sounder) | 12 | 40 | 32 | 金星探査機用参考値 |
| イオン、中性ガス質量分析計(ion/neutral mass analyzer) | 2.97 | 8 | 32 | のぞみ参考値 |
| 磁力計(Magnetometer) | 3.11 | 5以下 | 1.544 | MDS-1用MAM参考値 |
| 技術データ取得装置 (TEDA) | 4.55 | 11.9 | 1 | GOSAT用参考値 |
| 合 計 | 約70kg | 約70W | 約250kpps | 暫定値(CCD camera除) |