宏観異常現象 宏観異常現象とは, 人々が視覚や聴覚といった五感によって自然界の異常を観察できる現象のことである.
例えば, 犬が意味もなく悲しく吠えたり, 冬眠中の蛇が地中から出てくるなどする動物の異常, 季節はずれの開花や結実などの植物の異常, 井戸や温泉, 河川の水位や水質の異常,
さらに, 発光現象, 異常気象, 鳴動など様々ある. そして, これらの異常現象が地震に先立ち, もしくは 同時に観察されたとして世界各地からの報告が残されている.
動物異常行動に関する報告
日本における研究は, MILNE(1888), 今村(1927, 1931, 1943), 武者(1931,
1932, 1935, 1957)が過去の様々な事例を収集した. 力武(1978a, 1978b, 1979, 1983, 1986, 1987a,
1987b, 1998, 2001), 力武・鈴木(1979)は大地震に関わるアンケート調査を実施し地震の規模や距離などとの関係を探ると共に, 地震予知への応用に関して包括的議論をおこなった.
最近では弘原海(1995)が1995年兵庫県南部地震の事例を収集した. 日本での異常報告は魚に関するものが多く見受けられる. 魚類と地震との関係に関して,
TERADA(1932a, b, 1933)はアジの漁獲量と地震発生回数との相関が高いことを報告した. 末廣(1933, 1949, 1968,
1971, 1975, 1976), SUYEHIRO(1934)は地震に対するハマトビウオやリュウグウノツカイなどの様々な魚類の異常生態に関する事例を報告した.
その後のアジの漁獲量と地震との関係に関してはTOMODA and HIRONAGA(1989)がTERADA(1932a, b, 1933)と同様な指摘をしている.
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