電離圏プラズマの物理−計測から応用まで−

日時:平成18年4月7日 総合開発推進棟小会議室(2)
講師:宇宙科学研究本部 小山孝一郎教授

参考資料:スペースプラズマチャンバーの電離圏研究への貢献
I.Langmuirによって理論的に確立されたDCプローブ (Langmuir and Mott-Smith, 1924)は、地球を取り巻く電離圏における基本的な物理量である電子温度、密度を測定するプローブとして、第二次大戦直後米国がドイツから持ち帰ったV-2 rocketに搭載されて以来(Reifman and Dow, 1949)、多くの観測ロケット、科学衛星に使用されてきており、地球電離圏のみならず金星電離圏研究においても必要不可欠の観測器として、極めて重要な役割を果たしてきた。
  • V2ROCKET.COM
  • Historic video: V-2 rocket reaches space October 1946
  • Dynamics Explorer 2
  • 本稿は一見簡単にみえるDCプローブ計測は多くの場合、いまだ誤って使われているのでその問題点を指摘して今後の研究者に注意を喚起する。その問題点を克服して、地球電離圏E、F領域、電離圏上部および内部プラズマ圏における電子温度に関して世界の最先端を走ってきた日本が得た最近の成果を中心に概説する。
  • プローブ計測の基礎から応用まで(プラズマ・核融合学会誌 第81巻第7号)
  • 惑星大気・電離圏研究グループ (JAXA/ISAS)
  • 宇宙環境計測グループ (NiCT)
  • International Reference Ionosphere (NASA)
  • 最後に地震に伴う電離圏への影響を含めた電子温度、密度に関して残された研究課題、及び今後の測定に関する課題について記述する。
  • 地震の電離圏への影響(宇宙科学研究本部年次要覧)
  • 地震の電離圏への影響 ―新しい研究分野―
  • Low latitude Ne and Te variations at 600 km during 1 March 1982 storm from HINOTORI satellite小山孝一郎
  • Ionospheric Precursors of Earthquakes (Pulinets and Boyarchuk)
  • * 画像は細田@九工大さんよりいただきました。ありがとうございます。

    関連

  • Retarding Potential Trapの汚染定植の電子温度,イオン温度測定に及ぼす影響(東京大学宇宙航空研究所報告, 1973)
  • 汚染電極による電子密度の過少評価について(東京大学宇宙航空研究所報告, 1974)
  • Glass sealed Langmuir probeによる電子密度,温度の測定(東京大学宇宙航空研究所報告, 1975)
  • Glass-Sealed Langmuir ProbeおよびElectron Temperature Probeによる極域電離層の観測 : 電子密度・温度の測定(南極資料, 1975)
  • S-310-33号機観測ロケット研究報告(宇宙航空研究開発機構特別資料, 2005)
  • 地震が電離圏に及ぼす影響を「ひのとり」のデータで研究(ISASトピックス, 2008)
    [衛星による地震電磁気現象観測の歴史]